下雨的日。

台湾の雨に打たれながらアイドル考察と中国語留学。

「韓国好き?」って質問は私から何という答えを期待しているのか

韓国のコンテンツとの付き合いは長い。母親が「冬のソナタ」にハマって以降、NHKやBSで放送される韓国ドラマはほぼ欠かさず見ていたし、高校生になってからはジャ○ーズブランドのアイドル達のダンスや歌のクオリティに辟易してK-POPに乗り換えた。そこからが沼だった。知らない間に、韓国という国は文化的な方面に大躍進を遂げていて、流行りのファッションや音楽もアジア最先端だし、芸能界で活躍する人々の美的センスもめちゃくちゃ鋭かった。私は主にアイドルを中心にして、ヒップホップ界へ渡り、そこからファッション業界をチラ見し、すっかり韓国コンテンツのオタクになっていた。

 

かといって私が留学する地に選んだのは韓国ではなかった。大学に入ると私服通学になったので、周りが私の服装を見て「韓国好きな人/K-POPオタク」だと瞬時に認識するようになり、嫌気がさしたというのもある。私は単に韓国だけが好きなのではない、東アジア全般の政治的問題や中華文化にも興味があるごく普通の(?)、中国研究が専門の女子大学生である、ということが言いたかった。だから台湾に来た。(ゼミの先生にこんなゼミに入ってくる学生というだけでちょっとおかしいと言われたのは伏せたい)

 

ただ、忘れていたのが台湾にも日本人留学生が多いのと同じくらい、韓国人留学生もめちゃくちゃ多いということだった。韓国人独特の口コミ力で、いいと言われてる大学にはたいてい韓国人が多い。そのため、私は台湾に来て、めちゃくちゃ多い日本人と、めちゃくちゃ多い韓国人に挟まれることになった。

 

ここで一つ前置きしておきたいのが、私は自分に対してタイトルのような「韓国好きなの?」という質問を投げつけてくる日本人留学生に漏れなく違和感を覚えていて、なおかつ「韓国人みたいだね」「日本人だって?Are you sure?」とか言ってくる外国人にはほとんど心の中で怒っている。台湾に来てから、こういうことがよく起こるようになった。日本にいたころ、たまに空港で外国人に間違われるくらいなら自分はそんなふうに見られてるんだなぁ、まあ空港慣れしてないから道探してる人みたいに見えるんだろうなと気にしてなかったが、外国に来て同じような質問を何回も何回もされると、ほんとに嫌気がさしてくる。

 

まず、「韓国好きなの?」に関して、この文章を文節に分けてみよう。いかにおかしい質問かわかるはずだ。

「韓国」=日本の西側に位置する朝鮮半島の南側半分、大韓民国

「好きなの?」=好きですか?の口語

屁理屈かもしれないが、言葉は正しく使ってほしい。私は韓国のコンテンツが好きなのであって、生まれ育ったわけでもない土地である韓国を、まるごとまるっと好きであるわけがない。むしろ韓国のジェンダー差別や外見至上主義や、整形上等な世界観ははっきり言って大っ嫌いだ(なんで女は毎日化粧して、世間的に綺麗じゃないと判断されたら整形しなきゃならない?しかもそれを当たり前のことみたいに受けいれてる女たちは一体全体何考えて生きてるんだろう?)。正しくは、好きでもないし嫌いでもない。差別的な感情はないし、日本にもいいやつと悪いやつがいるように、韓国にもいいやつと悪いやつがいるだろう。それだけだ。韓国人の友だちもいるが、彼らを自分の他の国籍の友だちと区別して特別扱いしたりもしない。むかつく時はむかつくし、一緒にいて楽しい時はめちゃくちゃ楽しい。

 

だから「韓国好きなの?」に対する私の答えは「ノー」だ。それはたぶん質問してきた人からすれば思ってもみない回答であるか、たぶんひどかったら「こいつは嫌韓か」と思われるかもしれない。それでも愛想笑いで「K-POPが好き」と答える私の心の中の答えは揺ぎ無く「ノー」。

 

そして、私に対して「韓国人みたいだね」「あんた何人?」と言ってくる日本人には本当に何と返せばうまいのかわからない。私がその言葉を聞くのが通算57回目でもその人にとってはそれを言うのが1回目だろうからイライラと言い返したりはしないけど、それでもなんだか胃のあたりがモヤモヤしてくる。聞けば聞くほど。

 

私は韓国のコンテンツが好きだけれど、韓国人の考え方だったり価値観をそのまま飲み込んだわけではない。私は盲目的であり、閉鎖的であり、流行遅れの、人種差別や性差別がいまだ拭い去れないどうしようもない国日本の生まれであり、小さい時からついこの間まで日本で育ってきた。

国家自体の方針だったり国会で居眠りしたり野次を飛ばしたりするだけで国民の税金から給料を出してもらっている議員なんて大嫌いだし、まるで自分だけが急いでいるかのように何の罪もない人に怒鳴り散らしてストレス発散するサラリーマンも大嫌いだ。仕事と私生活の区別もできないくらい働くのがいいと思い込んでる大人も嫌だし、それに感化されてSNSで不眠不休不摂生をアピールする学生も好きじゃないが、私は日本に生まれてよかったと思っている。人種差別をしないだとか、先入観を持たないだとか、使った場所はきれいにして帰るだとかいう人間の基本的なことを教えてくれたのは育ててくれた両親であり、しっかり物を考えられる人間にしてくれたのは誰あろう今まで通ってきた学校の先生たちだ。のびのびと育ててくれたのは育った田舎の野原であり、物を考えさせてくれたのは東京という大都会だ。日本という国じゃなければ、今の私は存在しえない。だから感謝はしてもしきれないし、日本人であるということが特別誇ることではないと思うけれど、一番安心できる場所は日本にしかない。

 

たまたま外見が日本人ぽくはないかもしれない。服装や化粧は韓国のファッション文化にずいぶん影響されたし、色も日本にしたら色白な方かもしれない、でも私は私という日本人を生きていて、たまたまアニメを見ないで過ごしたがために、大学時代は部屋にテレビがなかったために、日本の流行についていけてないだけだ。大学で専攻しているのは東アジア研究で、特に日本の文化については結構真面目に勉強したし、自分の国についてはよく知ってるつもりだ。

少なくとも私が日本人なのを知ってるくせに薄笑いしながら「あんた何人?」と言ってくる日本人よりは知ってるつもりだ。

 

別に差別するつもりはまったくなく、むしろ韓国人を差別するという概念が心の中に欠片もないのであえて擁護せず言うのだが、私は別に韓国人が好きなわけでも嫌いなわけでもない。他の国の人に、その国の出身だから好きだとか嫌いだとか思ったことはない。フランス人だから「おう、お洒落な響きだな」とかイギリス人だから「頭よさそう」とか、中国人だから「やべぇ何代か遡ったら項羽か!?」とか思ったりもするけど、それは別に否定的なことではないし心の中から出したことのない叫びなので許してほしい。とにかくどこの国にもいいやつと悪いやつがいて当たり前なのだ。

私も韓国人と友だちになった当初は良い面ばかり見えていたが、仲良くなるにつれて嫌な面も見えてきた。でもこれは外国人と長く付き合ったら当たり前に起こることだ。

すぐ自分の国と台湾や日本人を比べて「うちの国ではこうなのに・・・」とやたら自分の国の常識を引き合いに出してきて台湾や日本に否定的だったり、私も台湾の食べ物は全体的に薄味で甘いのが多いと思うけれど、辛くないと味を感じないというのもどうかと思う。台湾には台湾の、日本には日本の基準や文化があり、それらはどれも正しいとか正しくないとかの問題ではない。勝手に自分の国を引き合いに出すから苦しくなるだけだ。

韓国人全体がこうだとは思わないが、周りの韓国人留学生はこの保守的パターンが多めだ。日本人留学生は台湾は親日だから来たとかふざけたことを言いながらも台湾独特の文化に適応が早い。というか変わったものにすぐ手を出しがちだ。この適応力の早さはカナダにいた時もちらほら目についた気がするので、日本人に関してはこの傾向が全体的に強めだと思う。カナダにいた日本人の女の子たちは滞在期間が長くなればなるほど日本人な感じがしなくなってたし、男の子たちはなぜかみんなヒッピーみたいになってた。韓国人はそろいもそろって四角いリュックにファーつきのもこもこジャンパーを着てたのですごく対照的だったのを覚えている。

 

悲しいことに、私が日本人であることを疑われたり、その場合多くの人は私のことを韓国人だと勘違いしたりしていることに対して妙に違和感を覚えるのは、韓国人と長い時間一緒に過ごしてきて、私は韓国人ではなくまぎれもなく考え方も見た目も日本人だと意識するようになってきたからだと思う。彼らの嫌な面も見たし、何の悪気もなく失礼なことをばんばん言われたりもしたから。

 

考えすぎかもしれない。ごちゃごちゃと考えすぎるからつらいのかもしれない。「べつに韓国って国に大賛成なわけではないですよ、DEANは聴くしモンエクはかっこいいしWINNERは神様だけど」とか屁理屈言ってしまうのも考えすぎだからかも。

 

でも考えるために台湾に来たんじゃなかったか?日本という国、日本人である自分を、今まで自分が常識だと思ってたことが通用しない、そして日本にとても近い国で考えるためにここまで来たんじゃなかったか?もちろん飛行機に乗ってしまえば3時間くらいで着いてしまう距離だけど。だけどここは別世界で、めちゃくちゃ厳しく当たられたり常識を逸脱して優しくされたりする。周りは自分も含め外国人ばっかり。何でもないことを考えるのに十分な時間もあるし条件もある。頭を空っぽにして遊んで帰るより憂鬱になるくらい考え事して過ごしてなんぼだと思う。

 

ということで書いてみた記事だった。何度も重ねて言うけれども、外国人と付き合えば自分の国の文化と相いれない面がたくさん見えてきて途中で嫌になるもの。別にその国の人が嫌いというわけじゃなく、お互いを知り始めたからそうなるのだ。

 

そして言葉には気を付けたい。Think before you say something.