下雨的日。

台湾の雨に打たれながらアイドル考察と中国語留学。

『メビウス』女子大生が見る映画ではないかもしれない映画の話※R18

友達に誘われでもしなければ一生見に行かないような映画

 
心が疲れるような映画はあんまり見ません。
派手なアクションでビルとビルの間を飛び越えたりボンボン爆発して車のフロントガラスを叩き割って悪をやっつけて最後はヒロインとくっついてハッピーエンドみたいな、アクションラブコメディーを好んで見て生きてきました。でもそんなに頻繁に見るわけじゃなくて、その時点で有名になっている映画があって、自分がその映画に割ける時間を持っていて、あるいは誘ってくれる友達がいて、それでやっとそのアクションラブコメディーを舌先に啜ってみるくらいで。
 
 
映画を見て心を使うことって正直疲れるから泣けるとか感動するとかそういう類はあえて避けてガッハッハって笑ってるうちに終わるみたいなのが好みで、どちらかといえば。
 
 
それが最近は重たいのしか見てない。
といっても二本だけど。
 
 
この間友達に誘われて新宿の小さな映画館まで映画を観に行ってました。
 
 
キム・ギドク監督の作品「メビウス
韓国での公開は確か2013年。台詞がないため字幕がなく、役者の演技そのものが言葉であった。夫が浮気をしていることに怒り狂った妻が、夜中ナイフを手に持って夫の寝ているところへ忍び込む。彼女の狙いは彼の性器を切り取ることであった。事態に気が付いた夫が妻を部屋から追い出すが、妻は今度は息子の寝ている部屋を覗く。すると息子はまさに自慰の真っ最中で、妻は涙を流しながら息子の性器を切り取るのだ。妻はそのまま逃走、父親は息子に自分の性器を移植するのだが、夫婦は心中し、最終的には息子は自分から、その移植された性器をピストルで撃ち、生殖機能を絶ってしまう。
 
 
自分一人ならこんな映画絶対にチョイスしない。そもそもこんな映画があること自体知らずに生きていた。どういうわけか見ることになり、レイトショーであるが故23:00きっかりという寮の門限に間に合わなくなるので友だちの家に泊めてもらう承諾を得てから行った。
 
 
本当なら観に行ったその日のうちに、京王線に揺られながらこのブログを完成させるつもりだった。つもりだったけれど、その日の私は「いやあ大変なものを見てしまった」という実感しかなくて、正直映画の詳細まで思い出すことが困難なくらいショックを受けていたので、書こうと思ってもまとまらなかった。なので1週間経った今、記事を編集しなおしている。
 
この1週間、一緒に観に行った友だちと、1日も欠かさずにlineをして、1日も欠かさずに切り取られたチンコの話をしていた。時間が経ってみると、不可解なことが多すぎる映画だったのだ。なぜ息子は父親の浮気相手とセックスしたんだろうとか、アダルトビデオを見ても反応を示さなかった移植後の性器が、母親が現れた途端勃起したのは何故なんだろうとか、すべてが不可解すぎて疑問があとからあとから湧いてくる。
 
それをこの1週間考え続けた挙句、自分なりに答えが出るという不思議な体験をした。
そもそも外国の映画を字幕なしで、ここまで理解したこと自体が稀な経験だった。
加えて、鑑賞後1週間にわたってその映画について考えさせられるというある意味心的後遺症みたいなものを経験し、知らず知らず自分なりの答えを導き出してしまうという。
 
友だちと欠かすことのなかったlineの会話で、私たちは取憑かれたようにチンコの話をしていた。馬鹿みたいだが、これは本当の話で、なぜチンコの話が終わったのかといえば、エクソの2度目の単独コンサートが渡韓の日にちょうどかぶったから行くかどうかという話になったからだ(こんなファンでごめんなエクソ)。
 
 
私が出した答え
結局この映画に悪役はいたのか?いや、いなかった。
愛する息子のチンコを切り取った母親も、浮気をしていた父親も、父親のチンコをくっつけて父親を見下した息子も、息子とセックスしようとした母親も、すべてが悪であり、すべてが被害者だった。
息子にくっつけた自分のチンコを取り返そうとナイフを持って襲い掛かる父親と取っ組み合う息子、止めに入る母親の家族3人のベッドの上でのすったもんだは会場から笑い声が上がったが、まさにこの様子なのだ。
家族3人の中を、チンコと共に悪が廻ったのかもしれない。
 
家族が互いに対してここまで残忍になれるのは性器が絡んだからだ。
 
まず浮気をした父親。
母親が息子のチンコを切り取ったこと。
父親のを移植された息子が、チンコをなくしてまで母親とセックスしようとした父親にとった冷たい態度。
父親とできないなら息子とセックスしようとした母親。
嫉妬して息子にくっつけた自分のチンコを取り戻そうと息子に刃物を向けた父親。
 
夫婦は心中自殺し、息子は諸悪の根源だった性器を自分から撃ち抜く。
 
 
社会の理にかなった最後だ。悪の根源を断ち切れば同じことは2度と起こらない。
というかすべてを狂わせたチンコを自分の股間にくっつけていられるやつの方の気が知れない。
 
 
(ブログはじめて記事3つ目くらいだけど、こんなチンコチンコ言ってていいんか…?普段は温厚な人間です)
 
性器から人間は生まれて、また性器から人間を産み出していく。性器で家族ができるのに、性器によって家族が滅びる。
 
私にはここまでしか考察できなかった。もっと感受性の豊かな人は、また違う意見を持つだろう私にはもう想像できない。生まれてこの方恋愛云々セクシュアリティ活動などとは無縁で生きてきた私にとってこの映画はまだファンタジーなのである。
 
 
また心に闇を抱えた気がするけれど、この後味の悪い感じ、自分であとは考えろと丸投げされる感じ、嫌いじゃない……!!
 
 
だんだんと映画の謎が解けていく段階がおもしろくて、息子役をしていた俳優さんが弟と同い年だとか撮影当初15歳だったとか私が昔見ていた大王四神記に子役で出演してたとかほんとどうでもよくなった!!!
でも本当に魅力的な俳優さんでした。15歳であの演技と色気は半端じゃない。
未成年でこんな映画に出演を決意するあたり、将来が楽しみです。
もし私の弟が俳優で、メビウスみたいな映画のオファーが来たら、絶対に出演させられないですけど……